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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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家族性アルツハイマーの脳組織におけるアルミニウムの集積

Date: 2017-02-15 (Wed)

家族性アルツハイマーの脳組織におけるアルミニウムの集積

Aluminium in brain tissue in familial Alzheimer’s disease Ambreen Mirza, Andrew King, Claire Troakes, Christopher Exley
Journal of Trace Elements in Medicine and Biology 40 (2017) 30-36


論文要旨

家族性アルツハイマーの病の診断には遺伝的素因に関係するアミロイドカスケード仮説が基礎になっている(:Aβの蓄積がアルツハイマー病発症の引き金になるとする有力な仮説。遺伝性のアルツハイマー病がAβ産生に関わる遺伝子(APP、γセクレターゼ)の変異によって引き起こされること、Aβの蓄積は神経原線維変化など他の異常が見られる前から進行していること、などの事実に基づいている。 森注)。アミロイド前駆体タンパクの発現や代謝を病因の柱と位置づけている。しかし我々はアルツハイマー病の原因を知らないし、環境要因が病気の発症や進行に寄与しているかもしれないのである。その環境因子の一つにアルミニウムに対する被曝があり、これまでもアルミニウムは散在性アルツハイマー病の脳組織に検出されてきた。われわれはこれまでに初めて家族性アルツハイマー病と診断された12名の脳組織のアルミニウムを測定した。その濃度は極めて高かった。例えば12人中5名では10 マイクログラム/グラム乾物脳組織 以上であった。概してこれらの濃度はアルミニウム暴露で誘起された脳症での脳の例をのぞけば、これまでのどれよりも高かった。これらの定量的な分析結果は、最新のアルミニウムに選択的な蛍光法で染色して脳内アルミニウムを可視化した蛍光顕微鏡観察下で調べたすべての脳葉でも支持された。この家族性アルツハイマー病の脳組織のアルミニウムのユニークな定量的なデータと、非常に美しいアルミニウムの局在イメージは、この破滅的な病気に対するアルミニウムの役割についての亡霊(恐怖)を呼び起こすものである。