WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
転載希望時は連絡先まで

日本原子力機構のウラン・プルトニウムの呼気からの驚異的な内部被ばくについて

Date: 2017-06-07 (Wed)

肺から最大2万2000ベクレル 5人搬送 内部被ばく検査へ

NHK 6月7日 11:48

6日、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の核燃料の研究施設で、袋の中から放射性物質の粉末が漏れ出し作業員5人の手袋や服などが汚染されたトラブルで、このうち1人の肺から最大2万2000ベクレルの放射性物質が計測され、原子力機構は5人を専門の施設に移し詳しい検査を行うことにしています。

茨城県にある日本原子力研究開発機構の「大洗研究開発センター」の施設で6日午前、5人の作業員が燃料の貯蔵容器の点検をしていたところ、実験で使ったプルトニウムやウランを含む放射性物質の粉末が入った袋が破裂し5人の手袋や服が汚染され、このうち3人の鼻の中から最大24ベクレルの放射性物質が確認されました。

文部科学省によりますと、体外に出てくる放射線を測定する機器で調べたところ、このうち1人の肺から6日の時点で確認された値より大幅に高い、最大2万2000ベクレルの放射性物質が計測されたということです。

原子力規制庁によりますと、この放射性物質はプルトニウム239だということです。

どのくらい被ばくしているかは、まだわかっておらず、この1人を含む5人全員について体内に入り込んだ放射性物質の影響で被ばくする内部被ばくについての詳しい検査が必要だとして、千葉市にある放射線医学総合研究所に搬送したということです。

5人は当時、燃料研究棟と呼ばれる燃料の研究開発などに使われていた施設で作業をしていて、原子力機構は漏れ出した放射性物質による外部への影響はないとしています。
【「被ばく限度を超えるのはほぼ確実」】日本原子力研究開発機構の核燃料の研究施設で、袋の中から放射性物質の粉末が漏れ出し、作業員5人の手袋や服などが汚染されたトラブルで作業員の1人の肺から2万2000ベクレルの放射性物質が計測されたことが7日の原子力規制委員会で報告されました。

これについて、規制委員会の放射線の安全規制が専門の伴信彦委員は「肺に吸い込んだ放射性物質の測定で、こうした値が出てくるのは半端な状況ではなく、作業員の被ばく限度を超えるのはほぼ確実だ。だからといって、命に関わる急性影響が出るということではないと思うが、事態としては決して軽微なものではない」と述べました。

そのうえで、「今回の作業の手順が、どこまで妥当だったのか厳しく見る必要がある。顔を半分覆う半面マスクをしていたのに体内の汚染が生じたということなので、マスクの装着が十分だったのかなどについても情報を確認したうえで監督、指導してほしい」と述べました。
【「2万2000ベクレル 聞いたことがなく大きな値」】内部被ばくの問題に詳しい量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役は「2万2000ベクレルという数字は、事実なら国内では私は聞いたことがなく大きな値だ。ただ、健康への影響については体内に取り込んだ放射性物質がどのような核種なのかによって数倍違ってくるので評価のためにはこうした点を明らかにする必要がある」と話しています。


プルトニウムは体内細胞に鉄イオンの膜輸送体であるトランスフェリン・リセプターを介してエンドサイトシスで吸収されます。肺胞にとどまったままアルファ線を出して細胞をヒットし続けるので肺がんになった記事がチェリノブイリ原発事故で報道されています。細胞分裂の複製時にエラーが起こり細胞周期がくるって細胞が分化能を失い(脱分化)がん化するのです。
 
ーーーーー

プルトニウムの細胞への取り込みの原理は以下の2011年の記事に詳しいです

Nature Chemical Biology 7, 560–565 (2011) doi:10.1038/nchembio.594

An iron-dependent and transferrin-mediated cellular uptake pathway for plutonium

Abstract:
Plutonium is a toxic synthetic element with no natural biological function, but it is strongly retained by humans when ingested. Using small-angle X-ray scattering, receptor binding assays and synchrotron X-ray fluorescence microscopy, we find that rat adrenal gland (PC12) cells can acquire plutonium in vitro through the major iron acquisition pathway—receptor-mediated endocytosis of the iron transport protein serum transferrin; however, only one form of the plutonium–transferrin complex is active. Low-resolution solution models of plutonium-loaded transferrins derived from small-angle scattering show that only transferrin with plutonium bound in the protein's C-terminal lobe (C-lobe) and iron bound in the N-terminal lobe (N-lobe) (PuCFeNTf) adopts the proper conformation for recognition by the transferrin receptor protein. Although the metal-binding site in each lobe contains the same donors in the same configuration and both lobes are similar, the differences between transferrin's two lobes act to restrict, but not eliminate, cellular Pu uptake.
-------------------------------
以下、その後の経過です。

尿からプルトニウム=作業員5人、内部被ばく―放医研
17:42
 
 日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で作業員5人が被ばくした事故で、放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)は19日、5人全員の尿から、ごく微量のプルトニウムが検出されたと発表した。放医研は内部被ばくがあったと推定。被ばく量は調査中だが、「健康に確定的な影響があるとは考えていない」と説明している。
 原子力機構は事故翌日の7日、1人の肺から2万2000ベクレルのプルトニウム239が検出されたと発表。5人が搬送された放医研の検査では肺からプルトニウムが検出されず、尿などの排せつ物を詳しく調べていた。
 原子力機構の児玉敏雄理事長は19日午後、東京都内で事故後初めて記者会見し、「原子力に携わる組織として誠に憂慮すべき事態であり、特に地域住民、関係自治体に非常に不安な思いを与え、おわびする」と謝罪。自身の進退については「今の私の責任は原因究明の陣頭指揮をしていくことだ」と述べ、辞任を否定した。