純青の天然のシャクナゲはない?
Date: 2018-04-12 (Thu)
京都の北山の府立植物園で、シャクナゲの展示会があった。
日本にはシャクナゲの品種が200種類ぐらいしかないそうだが、
主催者によると、その中でも花弁の色が青色のものは、僅少だということであった。ここに示す写真1、写真2のものは「清流」という名のもので。同じ鉢植えのものを角度を変えて写真に撮ったものである。あきらかに純青ではなく、すこし紫色がかかっていることがわかる。
展示場には壁に写真でもう一つ「さわやか」というなまえのものが張ってあった。それも少しは紫がかっているとのことである。日本にはヒマラヤのケシのような純青のシャクナゲはないのではないかということであった。遺伝子導入法によって作出されたサントリーの青いバラも、本当は少し紫色が抜けていない。ことほど左様に天然の「純青」は育種にせよ、遺伝子導入にせよ作出が難しいようである。
実は、色素のアントシアニンに青色を発色させるためには鉄イオンが必須であることが、名古屋大学農学部の吉田久美教授の研究で分かっている。アントシアニンの存在する花弁の細胞の液胞に鉄イオンが取り込まれてアントシアニンの水酸基と結合しなければならない。その液胞膜の輸送体遺伝子はVIT1である。この遺伝子を活性化して十分な鉄イオンを花弁に運ぶ必要がある。
ここらへんのメカニズムはまだ完全には解明されていない。何かまだ未知の青色化のメカニズムがあるように思われる。
清流
清流(少し紫色がかって見える)
さわやか(光るのは天井の電灯の反射)