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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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放射性セシウムに関する演題(2018年日本土壌肥料学会 於:日本大学生物資源科学部

Date: 2018-08-16 (Thu)

来る8月29日から31日まで、日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市亀井野1866)キャンパスで開催される日本土壌肥料学会の講演のタイトルが、最新の学会誌(日本土壌肥料学雑誌)に掲載されました。以下はその中から放射性セシウムに関する研究のみをピックアップしたものです。
    
  周知のように2011年の原発暴発以来、すでにこの土壌・植物栄養・肥料学分野ばかりでなく、他の多様な学問分野の研究者たちからも、以下のような多方面にわたる斬新な研究成果が得られてきています。 

1.ジョロウグモなどの節足動物からのAg110mの発見
2.イネのセシウム吸収に関わるカリウムトランスポーターの同定
3.イネのカリウム吸収トランスポーターを突然変異源や、ゲノム編集技術で破壊したセシウムを吸収しないイネの発明
4.セシウムの土壌中の層状粘土鉱物内での存在状態の可視化の解明
5.原子炉から飛散したセシウムボールの微細形態と構成元素の解明
6.放射能汚染物のオートラジオグラフの立体像の可視化
  
      
  7年半経過した現在でも帰還できない住民にとって、現状は実に腹立たしい悔しいしいことです。いっぽうでは、この広域にわたる愚かな人間が作りだした放射能汚染帰還困難区域は、真摯な研究者に対して、「壮大な実験圃場」を提供しているともいえるでしょう。研究者達は、執拗に、粘り強く、現地での、あるいは現地の材料を用いた実証的研究を通して、放射能汚染の実態を明らかにし、世の中に継続的に問い続けることが必要です。

 
      
以下演題です
 
〇 セシウム吸着シートを用いた作物の放射性セシウム吸収危険度判定手法の検討―シートのセシウム吸着特性について―
吉川省子・・杉山恵
    
〇 放射性セシウムの実効的な固液分配計数の変動要因
江口定夫・・・・・・・・・・・・波多野隆介
   
〇福島県の森林における雨水、土壌水、渓流水中の放射性セシウム濃度の経年変化
小林正広・・大貫靖浩
  
  
〇三つの異なる森林小流域における安定セシウム循環の比較  
伊藤優子・・今矢明宏
 
〇土壌から樹体への放射性セシウム移行吸収―ヒノキ苗植栽後3年間の動態
平井敬三・・・新家武
 
〇施肥による133Cs とK2Oの可吸化と可溶化         杉山恵
 
〇プラスチックシンチレータを利用したリアルタイムRIイメージングシステムによる植物中の元素動態解析            菅原康平・・・・・田野井啓太朗
  
〇イネのセシウム吸収におけるカリウムとの拮抗作用の品種間差 
谷本涼・・・近藤始彦
  
〇植物体内の元素動態を可視化する新たなオーオラジオグラフィー技術の開発
粟田圭輔・・・酒井卓郎
  
〇水稲のOsHAK1以外の主要K輸送体のセシウム吸収・輸送への関わり
頼泰樹・・・・・・・・・服部浩之
  
〇福島県山木屋地区除染後農耕地土壌における肥沃度回復(第1報)〜除染による肥沃度低下の現地報告〜           菊池優汰・・斎藤葉瑠佳
  
〇福島県山木屋地区除染後農耕地土壌における肥沃度回復(第2報)〜土壌炭素蓄積、窒素循環および土壌養分に対する緑肥の影響〜       
斎藤葉瑠佳・・菊池優汰
  
〇福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第44報) 低カリウム条件下における飼料用コメ品種・系統のCs-137移行のリスク評価   
斎藤隆・・・・・横山正
  
〇大豆体内における放射性セシウムとカリウムの動態     
本島彩香・・信濃卓郎
  
〇セシウム吸着シートを用いた畑地土壌の溶存態放射性セシウム量評価と作物吸収量判定―現地大豆圃場における溶存態放射性セシウム量評価について 
井倉将人・・・平山孝
  
〇被曝現場に放置された日常品の放射能汚染を立体像で可視化する
森敏・加賀谷雅道・・・・中西啓仁
  
〇福島県農耕地土壌を対象にしたセシウム固定ポテンシャル評価法の確立
金野優也・・・・・・加藤拓
   
〇土壌中の交換性放射性セシウム濃度の経時的変化と非交換性カリ含量との関係
久保堅司・・信濃卓郎
  
〇コンテナ内ポット試験による灌漑水中放射性セシウムのイネへの影響評価
鈴木啓真・・・・・・・・原田直樹
  
〇原発事故影響地域での営農促進に向けた玄米の放射性セシウム濃度評価手法の検討
藤村恵人・・・・・・信濃卓郎
  
〇放射性トレーサーを用いた栽培実験による土壌―牧草間放射性セシウムの移行を支配する土壌要因の解析            武田晃・・・・久松俊一
  
〇放射性セシウム集積特性の異なるイネ系統における土壌溶液カチオン濃度と植物体放射性Cs濃度の関係
小島克洋・・・・・・・・横山正
  
〇表土剥ぎ客土した除染後圃場におけるカリ増施による大豆の放射性セシウムの移行動態(3) 大豆生育過程の大豆地上部への放射性セシウム、カリウムの移行動態
関口哲生・・・島田信二
  
〇福島県相馬市における復興水田および大豆畑の追跡調査 
吉田拓史・・・・後藤逸男
  
〇カラム試験による福島県大柿ダム低質からの137Cs溶出 
塚田祥文・久保田富次郎
   
〇福島県の森林土壌における交換態放射性セシウムの割合とその経年変動
眞中卓也・・・・・金指努
  
〇福島県の農地における放射性物質に関する研究(第45報)−水稲におけるセシウム吸収シートを用いた土壌中可給態放射性セシウムの評価 
矢ケ崎泰海・・・・佐藤睦人
  
〇土壌中セシウム133および137の吸収を指標とした作物別吸収特性の評価
古川真・・二瓶直登
   
〇土壌から水稲への放射性セシウム移行を土壌溶液のセシウムとカリウムの濃度から推定する                  
植松慎一郎・・・・・・Erik Smolders
   
〇福島県内の農地における放射性物質に関する研究(第43報)−除染後水田での生育ムラ対策と牛ふん堆肥による地力回復効果― 松岡宏明・・・・・信濃卓郎
  
〇未除染・除染後草地の2011〜2017年における牧草中放射性セシウム濃度の推移について                渋谷岳・・・・・・山本嘉人
  
〇放牧草地における地形面毎の牧草への放射性セシウム移行と交換性カリ含量の推移
山田大吾・・  村恭子
   
〇ダイズGmHAK5ノックダウン系統個体のセシウム吸収特性
二瓶直登・・・・・・・杉山暁史
   
〇カリ施肥量がイネの根におけるカリウム輸送体遺伝子発現量とセシウム吸収に及ぼす影響                  
石川淳子・・・・・・・・・近藤始彦
 
 
(以上同一テーマの複数の著者についてはfirst author と last authorのみを記しています)