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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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FITと結合するタンパク(FBP)は鉄と亜鉛のホメオスタシスの調整に関係している

Date: 2018-09-30 (Sun)

FITと結合するタンパク(FBP)は鉄と亜鉛のホメオスタシスの調整に関係している

A FIT‐binding protein is involved in modulating iron and zinc
homeostasis in Arabidopsis
Chun‐Lin Chen | Yan Cui | Man Cui | Wen‐Juan Zhou | Hui‐Lan Wu1 |
Hong‐Qing Ling
Plant Cell Environ. 2018;41:1698–1714.
  
(要旨)
植物の生育にとって鉄と亜鉛は必須である。そしてこの両元素のホメオスタシスに関しての相互関係は非常に複雑である。
われわれは酵母のtwo‐hybrid systemを用いてFIT-binding protein(FBP)を同定した。FBPのC-末端はFITのbHLHドメインと結合してFITのDNA結合能を失わせる。FBPをノックアウトするとNAS遺伝子発現が促進されてニコチアナミン含量が増加し、fbp変異株は亜鉛過剰耐性を示した。
生理学的解析からfbp変異株は亜鉛過剰ストレス下では野生株と比較して、根により高濃度の亜鉛を維持し、地上部により高濃度に鉄を移行した。
fbp変異株では、FBPは通常根の師部で発現しているので、FITの局在によってこの部位に限って負の制御が引き起こされるが、ほかのFITによって制御されているIRT1 やFRO2など主に根の表皮細胞で発現するものは転写制御受けない。
FBPはFITと対立するパートナーとして、FITが制御する遺伝子群の発現を空間的に微調整する役割を提供している。結論として我々の発見は植物における鉄と亜鉛のホメオスタシスに関する理解に新しい知見を加えるものである。

KEYWORDS
FBP, NAS, Fe homeostasis, Zn homeostasis, Arabidopsis thaliana