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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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エチレンと一酸化窒素(NO)はアラビドプシスの鉄獲得と鉄ホメオスタシスに関係するキー遺伝子の上流制御に関わっている

Date: 2018-11-05 (Mon)

エチレンと一酸化窒素(NO)はアラビドプシスの鉄獲得と鉄ホメオスタシスに関係するキー遺伝子の上流制御に関わっている

Ethylene and nitric oxide involvement in the up-regulation
of key genes related to iron acquisition and homeostasis
in Arabidopsis
Marı´a J. Garcı´a, Carlos Lucena, Francisco J. Romera, Esteban Alca´ ntara and Rafael Pe´ rez-Vicente
Journal of Experimental Botany, Vol. 61, No. 14, pp. 3885–3899, 2010
  
  
(要約)
これまでの論文で、アラビドプシスではAtFIT, AtFRO2, AtIRT1などの鉄獲得関連遺伝子のアップレギュレーションにエチレンが関わっていることを報告した。本研究ではエチレンとアラビドプシスの鉄栄養関連遺伝子との関係についてより詳細に観察した。
  
鉄欠乏によって誘導される遺伝子のうちエチレンによって制御される遺伝子を検索した。
   
この目的のためにmicroarray 分析と reverse transcription-PCR (RT-PCR)を行い、鉄欠乏でアップレギュレートされる遺伝子群のうち、二種類のエチレン阻害剤(cobalt and silver thiosulphate)によっても抑制される遺伝子を検索し、追加実験でそれらがエチレンによって制御されているかどうかを確認した。
   
補足実験の結果エチレンによってアップレギュレートされる鉄栄養関連遺伝子群は一酸化窒素(NO)に対しても応答した。
  
さらに、鉄欠乏処理がエチレン生合成遺伝子[S-adenosylmethionine synthetase, 1-aminocyclopropane-1-carboxylate (ACC) synthase, and ACC oxidase genes]やシグナル関連遺伝子(AtETR1, AtCTR1, AtEIN2, AtEIN3, AtEIL1, and AtEIL3)
の発現をアップレギュレートしているかどうかを調べた。
   
その結果エチレンとNOはアラビドプシスの多くの鉄栄養関連遺伝子(AtFIT, AtbHLH38, AtbHLH39, AtFRO2, AtIRT1, AtNAS1, AtNAS2, AtFRD3, AtMYB72, その他)のアップレギュレーションに関係していることが明らかになった。
   
また、鉄欠乏処理が根でのエチレン生合成遺伝子群(AtSAM1, AtSAM2, AtACS4, AtACS6, AtACS9, AtACO1, and AtACO2)と、シグナル遺伝子群(AtETR1, AtCTR1, AtEIN2, AtEIN3, AtEIL1, and AtEIL3)の発現をアップレギュレートしていることが分かった。