WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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酸化亜鉛と酸化鉄のナノ粒子は小麦の生育を促進し、酸化ストレスを軽減し、カドミウム濃度を減少させた

Date: 2018-11-12 (Mon)

酸化亜鉛と酸化鉄のナノ粒子は小麦の生育を促進し、酸化ストレスを軽減し、カドミウム濃度を減少させた

Zinc and iron oxide nanoparticles improved the plant growth and
reduced the oxidative stress and cadmium concentration in wheat
Muhammad Rizwan, Shafaqat Ali , Basharat Ali , Muhammad Adrees ,
Muhammad Arshad , Afzal Hussain , Muhammad Zia ur Rehman , Aisha Abdul Waris

Chemosphere 214 (2018) 269-277

(要旨)

ZnOとFeのナノ粒子(以降、NPsと略称する)による小麦(Triticum aestivum)種子の刺激が小麦の生育とカドミウムの集積に及ぼす影響について調べた。

小麦種子をZnO NPs (0, 25, 50, 75, and 100ppm) か Fe NPs (0, 5, 10, 15, and 20 mg ppm)の水耕液で24時間通気処理して、その後、下水で長期間Cd汚染した土壌に播種した。
小麦は自然条件下で全期間60-70%の飽和容水量を維持して収穫期まで育てた。

草丈、穂長、茎葉重、根重、穂重、種子重などは特にNPs濃度が高いほど増加した。 これらの結果はNPsが小麦の光合成に対して無処理区よりもプラスに作用したことを意味している。

NPsはCdストレス下の小麦の葉の電解質の溶脱や、superoxide dismutaseと peroxidaseの活性を減少させた。

NPs投与によって、根、茎葉部、種子のCd濃度を優位に減少させた。高濃度のNPsで種子処理した小麦穀粒中のCd含量は、穀物のCd含量の国際基準の上限値(0.2 ppm)以下であった。

ZnO NPsの施用とFe NPsの施用は、それぞれ、根、地上部、穀粒中のZnやFe含量を増加させた。

以上まとめると、NPsは小麦の生育量、(亜鉛や鉄の)栄養素の量を増加させ、Cdの毒性を軽減させる。



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種子、地上部、根の亜鉛と鉄の含量に及ぼすナノ粒子施肥の効果

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茎葉、根、穀粒のCd含量に及ぼす2種類のNPsの影響