2007.12.20.簡単な理科の実験をやってみよう(中学校の理科の先生へ)
2007.12.20.簡単な理科の実験をやってみよう(中学校の理科の先生へ)
実験の目的
2価鉄イオンを用いて果物の渋み成分の分布を見よう!
用意するもの
1. あまり熟していないバナナ1本、または、あまり熟していない柿の実1つ
2. まな板、包丁、耳かき、小匙(さじ)、絵筆
3. 試薬 硫酸第一鉄(FeSO4・4H2O) の結晶約1gを上記小さじで砕いた粉末
4. A4のコピー用紙1枚
5. 接写が出来るデジタルカメラ1つ
実験の手順
1.まな板の上でバナナの真中あたりを1輪センチ幅に切りだす。
2.残りのバナナを切断部から長さ3センチに切って(右でも左でもよい)、それを真中で縦切りに二つにする。
3.1,2ともに切断面を上に向けてA4紙に中央部に並べる(順番はどうでもよい)。
4.耳かきに載るぐらいの硫酸第一鉄(FeSO4・4H2O) の粉末をとり、輪切りと縦切りのバナナの切断面の周辺部に近い所の片面上に、そっと迅速に載せる。
5.4ののちバナナがどう変わるかをデジタルカメラで1時間ごとに観察しよう。
室温に放置しておいたものが、翌日どうなったのかもよく観察しよう。
6. 柿の場合は柿を横から0.5 cmごとの輪切りに切り取り、それを用いてバナナの場合と同様の実験を行う。
実験結果と考察
十分後から硫酸第一鉄(FeSO4・4H2O) の粉末が吸水して透明な溶液になり始めると液の周辺からバナナの表面につぶつぶの濃紺の小さな顆粒が現れる。この顆粒がタンニンの顆粒である。(写真上参照)
輪切りのバナナの場合は2‐3時間後には染色された線状の三角形が3つ形成される。この染まった部分は水や養分が流れている組織である。
輪切りの場合も縦切りの場合も24時間後には皮の裏側にあたる部分が最も濃く観察される。これはここの部分にタンニン含量が高いことを示している。(写真下左の輪切りバナナの皮の裏側の部分参照)
柿の場合はバナナの場合よりもタンニンの結晶のつぶが不ぞろいであることがわかる。(写真中参照)
コメント:その他、以下の実験をしてみよう。
1) 以上と同じ実験を塩化第二鉄(FeCl3・7H2O)を用いて行っても、少し反応が鈍いですが同じ現象が観察されます。試してみてください。(写真下右の輪切りバナナ参照)
2) 新鮮な渋柿が入手できたら、同じ実験をやってみて、甘ガキの場合と比較してみよう。
3) 干し柿にも挑戦してみよう。
4) 鉄剤を適当に水に溶かして、絵筆で、バナナのいろいろな切断面や、柿のいろいろな切断面に塗りつけて、タンニンの立体的な分布を考察しよう。