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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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イネの鉄含量増強:QTLと候補遺伝子群の最新版

Date: 2021-07-09 (Fri)

Front. Plant Sci., 26 May 2021 | https://doi.org/10.3389/fpls.2021.647341

イネの鉄含量増強:QTLと候補遺伝子群の最新版
Iron Biofortification in Rice: An Update on Quantitative Trait Loci and Candidate Genes
B. P. Mallikarjuna Swamy, Balram Marathi, Ana I. F. Ribeiro-Barros, Mark Ian C. Calayugan and Felipe Klein Ricachenevsky
(要旨)
穀物の中でもイネは最も汎用性のあるモデル植物であり、経済穀物である。それゆえ、鉄(Fe)ホメオスタシスと鉄強化にもっともふさわしい種である。
 
近年遺伝子やQTLを詳細に解析して、鉄のイネ種子への移行に関する意義ある努力が行われてきた。これらの情報は穀物種子の鉄含有量の生物的強化に極めて有用なのであるが、トウモロコシや小麦ではこのような情報はかなり限られている。
イネがイネ科(Poaceae)でのモデルの中心的位置を占めてるということで、我々は イネ種子への鉄の移行、集積、分布に関する近年の知見と、異なる遺伝子型に観察される異なる鉄濃度の変動性についてそれを説明できるかもしれないQTLについて総説する。
12個の染色体上に90以上の Fe QTLsを同定した。
これらのうちの17の遺伝子が確定したものであり、25がQTLの近傍かその中に含まれていた。
鉄の吸収、移行、種子への負荷に関係する候補遺伝子の中には、YSL やZIP ファミリー(すなわちnicotianamine や deoxymugineic acidなどの金属結合分子の輸送体、液胞への鉄輸送体、クエン酸排出輸送体、その他鉄を種子へ配分する各段階に関係する遺伝子)を解明した。

最後に、これらのゲノム研究で明らかにされたQTLや遺伝子群をイネやその他の穀物への鉄含量増強のための育種への近未来の早期着工について論議した。

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種子の鉄含量に関連するQTLの機能