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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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イネ種子の鉄と亜鉛の生物強化とヒ素の減量化に関する遺伝学的アプローチ

Date: 2022-03-30 (Wed)

イネ種子の鉄と亜鉛の生物強化とヒ素の減量化に関する遺伝学的アプローチ

Genetic Approaches for Iron and Zinc Biofortification and Arsenic Decrease in Oryza sativa L. Grains


Vivian Ebeling Viana ・ Latoia Eduarda Maltzahn ・ Antonio Costa de Oliveira・ Camila Pegoraro
 
Biological Trace Element Research
https://doi.org/10.1007/s12011-021-03018-0

(概要)
米は世界人口の半分の主食であり、炭水化物、ビタミン、いくつかの必須栄養素の主な供給源である。
しかし、米には鉄(Fe)や亜鉛(Zn)などの必須ミネラルの含有量が少なく、その含有量も精米すると激減する。そのため、米を主食とする人々は、微量栄養素の欠乏に陥る可能性があり、そのことが様々な病気と関連している。一方、洪水で灌漑された米は、ヒ素(As)を吸収蓄積する能力が高く、穀粒の中に取り込んでいる。したがって、土壌や灌漑用水が汚染された地域で米が栽培された場合、Asはがんやその他の病気と関連があるため、消費者はAsの影響を受けるリスクを負うことになる。この微量栄養素を減らすために、さまざまな戦略がとられてきた。
鉄や亜鉛の欠乏症を防ぎ、ヒ素が食物連鎖に入り込むのを防ぐためのそれぞれの戦略には、プラスとマイナスがある。
鉄と亜鉛を含有し、かつAsの蓄積が少ない遺伝子組み換えのバイオフォーマテイック手法によるイネの開発は、微量栄養素の影響を軽減するための遺伝的改良(伝統的または分子的)の重要性を考慮すると、農家にとって追加コストがかからず、消費者にもメリットがあるため、最も有望な戦略である。
このレビューでは、鉄や亜鉛などの欠乏症やヒ素の汚染について、主な取り組み、進歩、そして米粒の鉄・亜鉛の遺伝的バイオフォーティフィケーションとAs含有量の低減のための課題について紹介する。
 
 
図4の説明
米中の鉄(Fe)と亜鉛(Zn)含有量を増やし、ヒ素(As)とフィチン酸含有量を減らすために用いたバイオテクノロジーのアプローチ
全粒粉と精白粒。OX:過剰発現、Si:サイレンシング、T:トランスジェネシス、M:突然変異誘発

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