WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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POPEYEと相互作用タンパク質OLIVIAはシロイヌナズナの鉄欠乏反応に機能する

Date: 2022-08-12 (Fri)

これもISINIPの講演要旨です。この要旨のバックオーサーであるPetra Bauer女史は Heinrich Heine大学に所属しており、かつCluster of Excellence on Plant Science (CEPLAS) という大きな予算を使える財団にも属しているようだ。小生が現役の時はどこかのドイツの大学のポスドクだったのだが飛躍的に成長したようだ。
  

POPEYE相互作用タンパク質OLIVIAはシロイヌナズナの鉄欠乏反応に機能する

Mather A Khan、Daniela M. Lichtblau、Ksenia Trofimov、Yunus Ari、Dibin Baby、Birte Schwarz、Petra Bauer

1 ハインリッヒ・ハイネ大学植物学研究所、デュッセルドルフ、40225、ドイツ
2 植物科学クラスター(CEPLAS)、ハインリッヒ・ハイネ大学、デュッセルドルフ 40225、ドイツ
  
鉄(Fe)は、植物の一生を通じて多くの代謝プロセスに必要とされる重要な微量栄養素である。環境条件の変化に適応するために、鉄の取り込みと恒常性は複数のレベルで厳密に制御されている。鉄が欠乏すると、多くの転写因子(TF)や他の種類の制御タンパク質が関与する複雑な制御カスケードが活性化される。シロイヌナズナでは、鉄欠乏に誘導されるbHLH TFであるPOPEYE(PYE)が鉄の分布を制御していることが知られている。PYE は、NICOTIANAMINE SYNTHASE4 (NAS4), FERRIC-REDUCTION OXIDASE3 (FRO3), ZINC-INDUCED FACILITATOR1 (ZIF1) などの鉄の動員・配分に関わる遺伝子の発現を転写的に制御してい る。

targeted yeast two-hybrid assay screening法を用いて、PYEと相互作用するタンパク質OLIVIA (OLV)を同定した。

さらに、PYEとOLIVIAの新規相互作用をBiFCおよびFRETアクセプターフォトブリーチングアッセイで確認した。PYEとタンパク質の相互作用には、特定のモチーフが必要であることがわかった。鉄欠乏反応における OLV と PYE との相互作用の役割を明らかにした。OLV を過剰発現させたトランスジェニック株は、NAS4 や FRO3 などの PYE 標的の遺伝子発現が野生型と比較して部分的に変化していた。これらの結果は、OLV がそのタンパク質間相互作用を通じて、鉄のホメオスタシスにおける PYE の機能 を高めることを示唆している。